菱形の中に花びらを4枚入れた花菱は、形が大変美しいことから白生地や帯の地紋にも多く使われます。シンプルで整った形状であることから、他の文様と組み合わせられることもありますが、基本的には季節問わず身に着けることができる文様です。4つ組み合わせて菱形を構成したものは「四花菱」と呼ばれます。

水面に見える波頭を幾何学的な表現に落とし込んだ古くからある文様で、雅楽『青海波』の装束に用いられたことから、この名が付いたといわれています。青海勘七という江戸時代中期の塗師が特殊な刷毛で巧みに描いたことがきっかけとなり、広く知られるようになりました。

同じ大きさの円を、円周の4分の1ずつ重ねた文様で、輪違いと呼ばれる有職文様でもあります。七宝とは金、銀、瑠璃、玻璃、珊瑚、瑪瑙、硨磲の7つの宝物を意味する仏教用語ですが、文様との関係は諸説ありはっきりとはわかっていません。