■ 西陣|やまひで謹製|名所物語絵図 ■
この帯に描かれている柄・文様
Japanese patterns and motifs used in this obi

物語
Story
物語のシーンを表現した文様で、特定の場面をそっくり再現したものから、モチーフの組み合わせで場面を暗示させるものまで、さまざまなものが見られます。江戸時代には、教養として古典文学を楽しむ文化が広まったといわれていますが、この紋様が現代にも残っている一因にもなっているかもしれませんね。

鶴・亀
Crane and Turtle
縁起物の代表格といってもいい鶴と亀。「飛鶴」「雲鶴」「郡鶴」「立鶴」「鶴の丸」など、鶴は鳥文様の中では、最も表現のバリエーションが豊富です。歴史が古いのは亀で、弥生時代の銅鐸などにも見られます。亀は単独で描かれることはほとんどなく、多くは鶴とともに長寿の象徴として表現されています。

御所車
Imperial Cart
平安時代の貴族の乗り物で「源氏物語」の世界を象徴するもので「源氏車」とも呼ばれます。
特に御所の風景を表現した御所解き文様や源氏物語絵巻のモチーフとして華やかな風情を添えて描かれることが多い文様です。

紅葉・楓
Maple
楓と紅葉は、同じ「カエデ」に分類される植物の呼び名で、厳密な決まりがある訳ではないようです。紅葉を観賞するようになったのは平安時代頃からのようで、「紅葉を見て夏に疲れた体に生気を取り込む」という中国の思想が伝わったことがきっかけになったという説があります。

風景
Landscape
正倉院御物の「山水夾纈屏風」に代表されるように、日本では自然の風景が文様として描かれてきました。平安時代になると、それまで中国の影響が強かった表現が、日本独自のものへと変化していったといいます。京名所や近江八景、日本三景など、特定の場所を描いたものは名所文様と呼ばれます。