この帯に描かれている柄・文様
Japanese patterns and motifs used in this obi
菊
Chrysanthemum
日本の花というイメージが強い菊ですが、奈良時代から平安時代にかけて中国から渡ってきたといわれています。ほどなくして宮中行事に用いられるようになり、南北朝時代には皇室の御紋となりました。格式ある日本の秋の花というイメージは、長い歴史の中で培われてきたものなのです。
御簾
Bamboo blind
文字を見ておわかりかもしれませんが、御簾とはすだれのことです。平安時代の建築様式である寝殿造りにおいて母屋と廂の間にかけられたり、日除けとして牛車に用いられたりしました。継ぎ目には美しい布と紐が使われ、江戸時代には「几帳」「檜扇」とともに王朝文化の象徴としても描かれました。
蝶
Butterfly
歴史のある文様で、奈良時代に中国から伝わり、平安時代に有職文様として公家装束などに取り入れられたところから、広く知られるようになったといわれています。「蝶」の中国語での発音が、80歳を意味する語と同じ音であることから、長寿の象徴とされてきたようです。
杜若
Iris
燕子花と書かれることもある、5~6月にかけて濃い紫色の花を咲かせる植物です。平安時代から文様として描かれ、着物だけでなく、詩歌や絵画、工芸品などさまざまなものに見ることができます。湿地に生えることから水と一緒に描かれることも多いモチーフです。
梅
Plum blossom
奈良時代のはじめに中国から渡ってきた梅は、厳寒の中いち早く花を咲かせることから、忍耐力や生命力を象徴する花として愛好されてきました。学問の神様、菅原道真公が梅の歌を詠んだことから、天満宮の社紋にも用いられています。