この帯に描かれている柄・文様
Japanese patterns and motifs used in this obi
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菊
Chrysanthemum
日本の花というイメージが強い菊ですが、奈良時代から平安時代にかけて中国から渡ってきたといわれています。ほどなくして宮中行事に用いられるようになり、南北朝時代には皇室の御紋となりました。格式ある日本の秋の花というイメージは、長い歴史の中で培われてきたものなのです。
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桐
Empress tree
清少納言が枕草子にも記した、淡い紫色の花が特徴的な桐。古来中国では空想上の鳥「鳳凰」の棲む木として尊ばれ、その故事が日本にも伝わり、吉祥文様として中世以降天皇の御衣に使われるようになりました。織田信長や豊臣秀吉などにも紋章として用いられ、現在の日本政府の紋章にもなっている植物です。
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鶴
Crane
縁起物の代表格といってもいい鶴と亀。「飛鶴」「雲鶴」「郡鶴」「立鶴」「鶴の丸」など、鶴は鳥文様の中では、最も表現のバリエーションが豊富です。歴史が古いのは亀で、弥生時代の銅鐸などにも見られます。亀は単独で描かれることはほとんどなく、多くは鶴とともに長寿の象徴として表現されています。
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秋草花
Autumn flowers and plants
桔梗、萩、女郎花、撫子、葛、芒、藤袴の秋の七草に、竜胆や菊など、秋の野原に咲く草花を取り混ぜて文様化したものです。七草の中から1種類だけを用いたものを、秋草文様と呼ぶこともあります。残暑が厳しい時期に気分だけでも秋を味わおうという思いから、夏の着物や帯、浴衣などにも用いられてきました。
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鳳凰
Phenix
古代中国で、龍・亀・麒麟と並び四瑞と称された、めでたいときにやってくる天の使いである鳳凰。日本で文様として使われるようになったのは飛鳥時代で、中国から伝わった鳳凰文を基本に、工芸品などに描かれるようになりました。中国の鳳凰文が時代により表現が変化しているのに対し…
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毘沙門亀甲
Triple tortois
持国天・増長天・広目天と並ぶ四天王の一尊である武神、毘沙門天の甲冑の文様に使われた ことからこの名が付いた、3つの亀甲を山の形に組み合わせ連続させた文様。モチーフが隙間なく配されたものだけでなく、互い違いに配されたものも見られます。