■ 菊を賞で|引箔 ■
この帯に描かれている柄・文様
Japanese patterns and motifs used in this obi

菊
Chrysanthemum
日本の花というイメージが強い菊ですが、奈良時代から平安時代にかけて中国から渡ってきたといわれています。ほどなくして宮中行事に用いられるようになり、南北朝時代には皇室の御紋となりました。格式ある日本の秋の花というイメージは、長い歴史の中で培われてきたものなのです。

松
Pine tree
1年を通して葉の色が変わらないことから、「常磐木」とも呼ばれる松。平安時代から着物の柄として用いられ、「老松」「若松」「松葉」「松毬」「吹き寄せ」など、現代にも受け継がれる多様な松文様が登場したのは、江戸時代頃からと考えられています

唐草花
Chinese flower and plant vines
中国から伝えられた花文様であることから、この名がつけられました。空想の花をモチーフとして飛鳥時代から奈良時代にかけて発達し、5弁から8弁にまとめて和風にアレンジされたのが平安時代頃と考えられています。ベースは円形に構成されたものですが、菱形などさまざまな形状で表現されています。

流水
Running water
着物や帯に描かれる流水は、多くが小川を表していると考えられていますが、一方で、一滴の水が海に注ぐまでを人生に見立てるなど、多様な表現を見ることもできます。「茶屋辻」や「御所解き文様」などの風景文様、「杜若」や「菖蒲」など、流水との組み合わせが定番となっている文様は数多くあります。

菖蒲
Iris
かつては「あやめ」の呼び名が一般的でしたが、葉の形が似ている芳香と厄よけの植物「菖蒲」の字をあててから、この名で呼ばれるようになったようです。杜若とよく似ていますが、花びらの元の部分が白いのが杜若、黄色い筋が入っているのが菖蒲です。

秋草
Autumn flowers and plants
桔梗、萩、女郎花、撫子、葛、芒、藤袴の秋の七草に、竜胆や菊など、秋の野原に咲く草花を取り混ぜて文様化したものです。七草の中から1種類だけを用いたものを、秋草文様と呼ぶこともあります。

紅葉・楓
Maple
水面に見える波頭を幾何学的な表現に落とし込んだ古くからある文様で、雅楽『青海波』の装束に用いられたことから、この名が付いたといわれています。